サーミスタは温度によって抵抗値が大きく変化することを利用し、温度センサとして使用することが一般的ですが、サーミスタの特性を利用して温度以外の物理量を測ることもできます。
サーミスタに電流を流すとサーミスタ自体も発熱します(自己発熱といいます)。
温度を測る場合は自己発熱により測定物の温度が正確に測れなくなるため自己発熱の影響が無視できる非常に小さな電流を流して使用します。
温度以外の物理量を測る場合には、反対にサーミスタを意図的に自己発熱させ、この熱の逃げ方の違いを利用して検知します。
検知用サーミスタセンサの周囲で、測りたい物理量が変化すると、熱の逃げ方が変わります。この場合は自己発熱した補償用と検知用のサーミスタに温度差が生じ、2つの抵抗値の差から物理量が分かります。
例えば、湿度であれば同じサーミスタをそれぞれ乾いた空気と湿った空気の部屋に置いた時、湿った空気の方は熱の伝わり(熱伝導率)が大きいので、乾いた空気に比べサーミスタから多く熱を奪い、サーミスタ温度が下がります(抵抗値が上がる)。この変化の差から、湿度(温度以外の物理量)が分かるのです。