エネルギーロス削減が期待できる、超極薄のガラス基板上に薄膜サーミスタ膜を形成した「FT-R」サーミスタセンサを開発いたしました。
温度を敏感に検知でき、性能は一般的な表面実装サーミスタ(IEC規格1005サイズ)と比較して10倍以上、従来の弊社薄膜サーミスタ「FT」と比較しても5倍以上のスピードで検知、超高速かつ俊敏な温度応答を持つサーミスタセンサを実現することができました。
これまで表面実装品での極薄化の実現が困難とされていたガラス基板を独自の技術を用いサーミスタ膜を形成し、従来の薄膜サーミスタの1/5の厚みを実現(基板厚み0.03~0.15mm)、今まで使用できなかった狭小部への挿入も可能になりました。
また平面温度の測定においても、その形状から、面で温度を正確にとらえることができ、点でとらえる一般的なアキシャルタイプサーミスタに対し、より正確に測定することが出来ます。
本開発品は、ー50℃~250℃、の幅広い温度域にて使用可能なため、低温から高温領域までのあらゆる温度検知用途に対応できます。
「FT-R」サーミスタセンサは、その俊敏な熱応答により温度制御を行っている組込み製品に対して、熱設計マージンの削減が可能で、例えばモーターであればサイズを変えないまま最大トルクや回転数を引き出せたり、バッテリーであれば充電時間の短縮や放電効率の向上につなげられます。
そしてモーターやバッテリーといった組込み製品を同性能のままサイズダウンが可能となり、省エネ、ひいてはカーボンニュートラルの実現に大きく貢献できます。
超高速温度応答サーミスタセンサは、測定物体を直接触れずに近傍に設置する、近接非接触センサとしての使用も可能で、常に動作している回転体などの検知にも最適です。
なお本開発品は、特許出願済みとなっております。
L | W | t | 電極サイズ |
---|---|---|---|
1.0 | 0.5 | 0.03、0.05、0.07、0.10、0.15 | (0.28)×(0.20) |
R25*1 | R25/85*2 | 熱時定数*3 | 熱放散定数*3 | 使用温度範囲 |
---|---|---|---|---|
360 kΩ ±5% | 3360K ±1% | 0.2 秒 | 0.2 mW/℃ | -50~250 ℃ |
*1 25℃におけるゼロ負荷抵抗値
*2 25℃、85℃におけるゼロ負荷抵抗値より算出
*3 JIS C 2570-1に準拠し、静止空気中で測定
●超高速温度検知が可能です。
下表のとおり、汎用面実装サーミスタと比較し、10倍以上のスピードを検知することが可能です。
●超薄型 最薄0.03mm まで対応予定。
製品 | 熱時定数※ |
---|---|
開発品 (基盤厚0.07㎜) |
0.2 秒 |
汎用面実装サーミスタ IEC規格1005サイズ |
2.2秒 |
従来の薄膜サーミスタ (基盤厚0.15㎜) |
1.1秒 |
世界最小ガラスタイプサーミスタ (参考:他社カタログ値) |
0.6秒 |
※測定方法:JIS C 2570-1「直熱形NTCサーミスタ―第1部:品目別通則」 に準拠し評価しています
● 車載モーター
● バッテリー(二次電池)
● プリンタ、複合機
● パワーデバイス、モジュールの温度補償
● ウェアラブル機器
● 各種近接非接触温度検知
● 製品組込み用、各種高速温度検知